殺処分されるはずだったトイプードル
当施設セラピー犬・さくらの物語
わたしはトイプードルのさくら。
わたしはここ有料老人ホーム「IoT美しい日本のだんらん」で毎日楽しくすごしているの。
ん? なぜわたしが老人ホームにいるのかって?
それにはいろいろな事情があったの。
もともとわたしは一人暮らしのおばあちゃんに、もう一匹の相棒ふうたと共に2匹で飼われていました。
しかしそのおばあちゃんは体が弱くて、ある日入院しなければならなくなった。
おばあちゃんは自分が入院している間、わたしたちの面倒をだれが見るのか?心配していた。
もう退院して来られないかもしれない。そうなったらどうしたらよいのだろうと。
おばあちゃんの予想は当たり、誰も私たちを見てくれる人がいなくて、もうどうしようもいかなくて、わたしとふうたは区役所に引き取られ殺処分になろうとしていた。
そんな時、おばあちゃんを担当していたケアマネージャーさんが、わたしとふうたを面倒見てくれる老人ホームがあると探してきてくれたの。
その老人ホームは「SILVER SUPPORT コスモス」という葛飾区にある老人ホームでした。
そのコスモスというホームにはもともと「もも太」というキャバリアを施設のセラピー犬として飼っていたんだって。
そのもも太が天国に旅立って、入居しているおじいちゃんやおばあちゃん、そしてスタッフのみんなが寂しさに落ち込んでいた。
そんな時にケアマネージャーさんがわたしたちの話を持っていったら、すぐにOkがでて、わたしたちを引き取ってくれることになったの。
コスモスにやってくると、それはそれはみんなから可愛がってもらった。
ふうたもわたしもすぐにここが居場所なんだって感じた。
本当なら今頃殺されていたのかもしれないと思うと、本当にこの老人ホームのみんなが暖かくてやさしくて。
そしてわたしとふうたは誓った。
認知症のおじいちゃんやおばあちゃんのために一生尽くしていこうと。
それからしばらくが経ち、ふうたに異変が起きた。
日に日に元気がなくなり、食欲がなくなり、やがてやせこけて、この世を去った。
もともとおばあちゃんに飼われていたころから心臓病だったことを知った。
ふうたは人生の最期を老人ホームのみんなに看取ってもらえて幸せそうな顔をして旅立っていった。
そしてわたしは一人になり、ふうたの分までより一層かわいがってもらえるようになった。
おじいちゃんおばあちゃんと散歩に行ったり、時には抱っこされて一緒に居眠りしたり、のんびりして穏やかな毎日が過ぎていった。
ある日、このコスモスの閉所が決まった。
コスモスも20年が経ち老朽化のため、ここにいるおじいちゃんおばあちゃんとスタッフのみんなが引っ越すことになってしまった。
わたしはこの後どうなるのかと、また捨てられてしまうのかと不安だった。
でもここの人たちは本当に暖かい人ばかり、わたしも一緒に連れて行ってくれることになったの。
そして、2018年4月1日 古川親水公園の桜が満開の中、おじいちゃんおばあちゃんとスタッフのみんなと、
一緒にここ「IoT美しい日本のだんらん」にやってきた。
そして最近では面会に来る家族の人から洋服をもらったり、おやつをもらったり、
ここでも変わらずみんなから可愛がってもらってるってわけ。
わたしはずっとずっとここでみんなと一緒に暮らしていくんだ…